リアルノマドカーライフについてアレコレ妄想する。

刺激を受けたのはこの記事。

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リアルノマドカーライフ、これ、何度も妄想で考えたことがある。別に自分探しとか、プロブロガーとか、そういうのではなく、あくまで家賃が払えない状態に陥ったり、住む家をなくした時に「ややマシな路上生活者」としてどこまでやれそうか、という危機想定のシミュレーションとしてだ。

車上生活と路上生活は紙一重だ。

これぐらいの前提で想定をした。

  1. 収入は10万円以下。5万円ぐらいでも耐えられること。
  2. 車はある、ある程度の装備品はあって、すぐに買い換え費用がないものとする(炊事、洗濯、睡眠、着替え、身の回り、電源、ソーラーパネル自家発電etc)
  3. 非合法前提は原則ナシとする(車検切れ、車庫証なし、悪質な無断駐車等。まあ、純粋にサバイバルモードまで行けばそうも言っていられないだろうが…)

 

で、だ。

・登録をどうするか。

まず、公道を走るための登録。家がない前提の場合、これが大問題。まず車庫証の確保だ。これは自宅から2km以内という制限がある。つまり(自分名義の)クルマを買うときに住民票は必須で、そこから2km以内なわけだ。実家に広い敷地がある場合はそこを車庫証として確保することができるが、所有者は実家居住者の名義でないと難しい。実家など頼れる存在があったとしても、そこに十分な駐車スペースがなければ車庫証は発行されない。月極駐車場であれば証明書の発行を検査することはそんなに無いが、自宅で申請した場合、警察は基本ちゃんと検査に来る(外から見るだけだが、敷地に入らないとわからない場合は声をかけられることがある)なので住所だけではダメなのだ。ここで登録ののためのダミー駐車場を有料で確保する場合、その経費は痛い出費となる。実家など住所を貸してくれるツテがそのへんユルい田舎ならまだいいが、都市部の実家だとかなり難易度が上がる。

家を失う前にすでにクルマ持っている場合、そうそう車庫証再検査なんてものは行われないので、まあ登録駐車場が解約されたからといってそれほどシビアに捉える必要はないが、一部イリーガル状態に陥る危険がある。また車を乗り換える必要が出てきた場合は再度この問題にぶち当たる。

軽自動車の場合、本当に田舎であれば、車庫証なしで登録できる地域がある。実際の住民より遥かに多いクルマが登録されていることがあり「車庫飛ばし」として問題になった。まあ田舎はゆるい。しかし田舎に頼れるツテがある場合のみ有効な話だ。(普通登録車はかなり厳しいはずだ)

 

・どこに停めるか

これが最大の問題だ。実家が田舎で広い敷地があってそこに停めているなら単なる敷地内家出でしかなく、真のノマドへの道は険しい。

また、家賃よりはぐっと安い居住地確保手段として駐車場を借りる手はあるがここで問題がある。基本借りるためには住所がいるのである。住所不定に貸す人はなかなかいない。まあ交渉して保証金を積み、保証人を立てればなんとかしてくれる大家もいるかもしれないが、管理会社を経由していることがおおいので相当苦労するだろう。

では、常に移動すると言っても、仕事をしたいなら毎日はかなり困難でやはり3日以上は滞在することになるだろう。地方に行けば出入り自由な駐車場がある大きなスーパーなども多いが、連続駐車はやはり目立つ。毎日、いや半日単位で移動しないとすぐ警告だ。ましてやキャンピングカーはすごく目立つ。

山間部や海沿いなら、けっこう停められれそうなところはあるが、それでもやはり人の目というのはどこにでもあり、3日も定住していると不審がられる。限度は2泊だろう。

コイン駐車場を借りることはできるが、それは経費もかかるし(地方でも24時間100円ってところはあまりない。最低ラインで300円)その場所で店を広げる(キャンプみたいにテーブル広げるとか、洗濯物とか、煮炊きとか)も厳しい。借りられる場所だけに人目があるからだ。そもそもそんなことやっていい、と謳っているところはないからね。禁止じゃないからやっていいでは、禁止になるだけだ。

結局毎日常に移動し続ける必要があり、移動はできるが基本は家として使う!という手段で短期定住を考えるとなかなかにハードルが高い。


・郵便物

はい、これがまたまた大問題。基本日本という国は郵便物が届く人間を国民として扱うため、これが不達となると憲法はともかく行政的には国民として扱われない。郵便物を受け取ってくれる拠点は必要である。私書箱も今はなかなか開設が難しく経費もかかる。また重要物の扱いは微妙である。逆に言えば郵便物を確保できるのなら、それはある程度ペーパー住所とすることができる(ほぼイリーガルだが…)

 

・寒さ暑さ

車中泊した人間でないとわからないだろうが、よほど断熱のしっかりしたボックスでないかぎり車中の寒さと暑さはハンパではない。夏はまあ夜しか居ないのならなんとかなるだろうが、冬の寒さは本当に凍死するかという世界。沖縄ぐらいならまあいいだろうが…

 

・では…

経費面と法的面をクリアするとしたら、実家、兄弟親戚など、ある程度頼れる存在の定住地を住所として確保した上で、その近所(車庫証の事を考えると2km圏内が基本)自分のサテライトルームとして駐車場を借り(買えるなら買ってもいいけど…)そこを拠点として寝起きし、基本デイタイムは出かける前提ならなんとかなるだろう、という感じだ。

次点として、ものすごく劣悪でもいいから格安で家を借り、その2km圏内で駐車場を確保することだ。住所と郵便物を確保できるのならほとんど住めなくてもいいから格安、駐車場も2km圏内で安い、そういった案件を確保できればかなり実現度は高い。ただ相当劣悪な物件との比較でも、クルマというのは劣悪な家と大差はない(相当豪華なキャンピングカーでないかぎり)。また経費面でいえば劣悪でも家があるのならクルマを確保する分だけ余計に経費がかかる。あれ?クルマ手放してその経費で家に住んだほうがマシじゃね?本末転倒だ。

 

・結局のところ…

ノマドは滅びぬ!何度でもよみがえるさ!
人は家から離れては生きられないのよ!

 

そういう意味で真のノマドとなることは、例えキャンピングカーを所持していても難しい。ライフスタイル、ファッションとしてのノマドにはなれても、真の家なき子(クルマあり子)になることは、本当に難易度が高い。

お金がないから路上車上生活というわけにはどうもいかなさそうだ。あくまで、本拠地とお金があって「ホテルぐらしの代わりのクルマぐらし」ぐらいが実情としては限界だろう。やはり真のノマドというよりは、みなしノマド、名ばかりノマド、にしかなりえぬ。

ロサンゼルスのように、雨が少なく気候が年中安定していて、駐車場と家賃の格差がものすごく、シェアハウスの文化があって住所貸しがある程度やりやすそうな感じで、郊外に出ればあるていど車上生活に文化的理解がありそうで…といった背景があるならもう少しやりやすそうだ。

  という脳内シミュレーションでした。