前から何度も言ってるけど今のカーシェアリングをクルマ離れの対策とするのは不十分

カーシェアリングそのものがダメって言ってるんじゃないよ。カーシェアリング便利!素晴らしい!もっと活用しようよ!っていう話には別に何の異論もない。

ただ「クルマ離れ」と結びつけて考えると不十分ってハナシ。

 

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なぜって?クルマ離れの要件定義の話になるけど、まあ基本的にペーパードライバー、もしくは免許なしってことでしょう?リンク先の記事では「免許保有率はそれほど低くない」ってことなんで、つまりペーパードライバーの若者をターゲットとして書いている事だと仮定してもよいと思う。

レンタカー借りたことがある人ならわかると思うけど、傷のチェックとか書類とかかなりビビるでしょペーパーなら。あれをビビらずにすっとスマートに使えるってことはそれなりの運転経験がないと厳しい。カーシェアリングは面接がない分、多少心理的ハードルは下がるとは思うけど、それでも完全新規ペーパーが人の車をパッと運転できるってのは精神的DQNだと思うよ(怖いもの知らず、運転舐めすぎって意味で)。

じゃあ、それなりの運転経験って?

まあ最低2万キロぐらい。できれば5万キロ、10万キロ走って一台乗り潰せば一人前。

で、日帰り房総で何キロ走る?まあ多くて300kmぐらいだろう。これを月一回で2万キロ行くには70ヶ月だよ70ヶ月。6年。平均速度30kmと仮定して2万キロは666時間、都内ならもう少し遅くなるから1000時間ぐらいか。1000時間って聞くと多く思えるけど、身体を使って慣れることがモノを言うトレーニングモノとしては決して大げさな数字ではない。毎日乗ってれば1年で到達する距離でもおっかなびっくりで7年も続くかね?まあ普通はないな。

なので、これらのサービスは「いったんクルマ離れ」「賢くなってクルマを手放した人たち」になら効果はある。

家の車があったり、自分で買ったり、とにかく「自由に遠慮無く使えるクルマが手元にある時期」ってのがどうしても必要なわけ。

だから田舎はクルマ離れしないよ。

家族と同居してて自由に使える車があるとか、一度は無理して持ってたけどやっぱり手放したとかの層は除外してもいい。

クルマ離れを絡めるなら、免許だけは取ったけど、田舎に戻ることもなく免許だけ更新しているような、完全新規ペーパードライバーをどうするか?って話が重要なわけ。

 この上達する期間(1000時間)がそもそも得られない人が多いから若者のクルマ離れなんて言われるわけ。この時期があった人はカーシェアリングの記事なんて読まなくても自分でレンタカーでもシェアリングでも自由にやってる。

(東京などの大都市圏で)クルマ離れを食い止める方法?んなもん無いよ。

まああるとしたら格安で運転経験が積める方法を提供することぐらいだね。それが「今の価格帯のカーシェア」だというなら、それはあまりにも楽観的すぎる。

その金額出して2万キロ走れる層ならそもそも買える。(1000時間=月2回一日おでかけ≒12時間×83ヶ月≒カーシェア約80~100万円)いつでも買えるけど賢いから買わない層は除外していいんだよ。

ぶっちゃけ30万円の中古車に月5万円維持経費がかかっても1年(12ヶ月)でポイする覚悟で2~3万キロトレーニングするならおそらく同じ費用分のカーシェアでがんばるよりずっと効率よく実りあるトレーニングになるだろう。この1000時間100万円をどう買うか?って違いだけだ。もっと気合入れて半年で練習カーは手放す!という意気込みならもっと安くあげられる。(人生的に損か得かは問題じゃないよ。カーシェアと同じ練習量を確保するという条件での比較)
ま、クルマ離れというのは「その1000時間100万円は出せないし出す気もない出すメリットも感じない」ってことなんだが。メリットを感じさせるというのはあまりに主観に依存するし、必要時間は減らないので、客観的に可能な手段は「100万円をどこまで下げられるか?」「100万円が出せる台所事情になる」しか存在しない。そしてその可能性のある手段ですら今のところ有効な方法はない。

この手の「これで解決!」みたいなメソッド記事十把一絡げでだいたいそうだけど、デキる子なら出来る、って話で虚しいんだよ。

できない子をどうするか?ってのが大事なんだ。そしてそれがとても難しい課題だから解決できないわけで。