ポッピンQ、残念だが満足した。なぜだか考えてみた。

ポッピンQ、見たんですよ。なんとなく。

宣伝みてもどういうアニメなのかまったくわからないけど、宣伝だけはやたら見たし、それなのに全然バズってないので、このネット時代にアレだけ宣伝した映画の話題がTLでなにも情報が流れてこないなんて、ますます興味が出たし、平日の夜にフラッと寄って見られるタイミング、なにより空いてたし。

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もう、ホントこのエントリのいう通り。ぐうの音も出ないほどポッピンQの残念さを書き出している。

しかし、僕はコレ、とても満足したんです。

なんで満足できたんだろう。

 

1.とにかく遠慮なくかわいい

基本コンセプトとして「プリキュアのED CGダンスを存分に本編に使ってなにか作りたい」みたいなのがあったのだと思うんです。

そしてプリキュアと違うのは「デザイナーが今かわいいと思う絵柄を遠慮なしに出している」ということ。プリキュアはあんまりストレートに流行のかわいいを追求してしまうと、母親層に引かれてしまうおそれがあるため、どうしても若干「あえて流行の萌え外し」をやらないといけない事情があるのに対し、ポッピンQはそれがない。なので存分にかわいいをストレートに楽しめる。プリキュアの外し感が狙われすぎてなくて良いというのもわかるけど、プリパラとかサンリオ系の絵柄は遠慮なしなんでダメってことでもないはず(笑)


2.どうせわかりきった話ならダイジェストで良い。かわいい見せ場を存分にだしてくれればいい。

尺としては1クールぐらいだとキレイにスパッと入るボリューム感。各キャラクターはいわゆるテンプレなんだけど、テンプレだけに、仲良くなる過程とか、回想とか存分に入れて掘り下げたところで「はいはい、またいつのもアレね、展開読めるよ、ああやっぱりね」ってなるのが、ダイジェストなのでポンポン進む。

プリキュアだってテンプレ萌えアニメだってたしかに良いシーンはあるとは思うけど、それを見たいがためだけにわかりきったストーリーで一年とか一クールも付き合って見てられねーよ、ってところを説明係がスッと飛ばしてくれるので見たいところだけ見せてくれる感じ。悪く言えば雑、良く言えば「雑でもわかるでしょアンタラほんとうにそんなのチンタラ長くやってそれ見たい?」ぐらいには見るターゲットを信用してる。

 

3.つまりはできの良いストーリー付きライブビデオ(もしくはアイドルビデオ)

ダンスやライブ本番の前にストーリーが合ったほうがのめり込めるじゃないですか。僕は曲だけ聞いて音楽にのめり込めるタイプじゃないし、かといって学芸会だと大抵はそっちがタルすぎて見てられないのだけれど、ポッピンQはそこはソツがない。ストーリーはご都合的とは言えハイクオリティでポンポン進むし、だからダンスも楽しめるという、まことダンスのためだけにちょうどいい尺(≒退屈せず、盛り上げる程度にはキャラを理解できる)で各キャラクターのバックグラウンドストーリーと、さらに舞台も用意しました、というのがポッピンQ。

アイドルとかだとみんながあれこれそれまでのストーリーを膨らませて、今歌って踊っているところに重ねられるからライブで感動するとかあるけど、そのバックグラウンドもアイドルの名前もまったく知らない一見さんが歌とダンスだけみても、常連やファンが何に感動しているのかさっぱりわからないってところを、1本の映画にすることで見事に回避している、というところ。

 

1クールでも長い、バックグラウンドを調べるのも面倒、デビューから追いかけて体験に時間がかかるのも面倒、でも、かわいい女の子が歌って踊るのはスパッとみてのめり込みたいんだ、って層には刺さるだろう。いや実際刺さった。これぐらいのボリューム感、とってもラクに満足できた。

プリキュアだったら一年かかってようやく得られる満足感に本編と直接関係ないEDダンスになるところを、コミコミオールミックスでまとめて2時間で楽しめる。ポッピンQはそういう作品だと感じました。 

 

※追記

足りない部分がすごくあるのは、元エントリの方の言うとおりでして、おそらく企画の段階ではあったのではないかという推測もありますが、そこをあえて【誰も知らない見せる前からダイジェストにして1本の映画にしてしまう】というのが意図的なのか結果的にそうなったのかはわかりませんが、それが「アリ」だったな、というのが感想です。しかしそれが「成功要素」「広くウケる手法」かどうか、という点については興行結果が物語っているんじゃないかと。

また、「足りない部分を足せば(1クールぐらいあれば)名作になり得たか?」については、なんともいえないです。よく出来てるけど退屈な話になったかもしれないし、OVAや劇場のTVシリーズ化は過去にも例があるので、「できてみないとわからない」としか。

プリパラ、ぐらい頭のネジが飛んでいればよかったのだけれど、プリキュアの文法で作ってしまったことが無理が出たのだろうか。楽しみ方としてはプリパラに近いのに、流れとしては真面目なプリキュアになってしまったゆえの歪。